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ヘルシンキ旅行:太陽が沈まない夜に、ロンドンを想う

2017年夏、コペンハーゲン、ヘルシンキ、タリンを旅行した。


コペンハーゲン空港から2時間弱で、ヘルシンキ空港に到着。

14:20コペンハーゲン発、17:15ヘルシンキ着。

最初フィンランドとデンマークの間に時差があることを知らなかったので、なんで3時間近くもかかるのか不思議だった。

地図を見ると、ロンドンからコペンハーゲンと、コペンハーゲンからヘルシンキまで、緯度的にだいたい同じくらいの距離にある。

だから1時間ずつ時差があるんだ。

北欧ってひとくくりに考えていたけど、デンマーク以外は大きな国だもんなあ。


この日は夕方着なので、あまり欲張らずにホテルに直行。

空港からヘルシンキ中央駅まで30分ほど。

ヘルシンキの駅はモダンで、何もかもがかわいいデンマークから来ると、かなり殺風景に感じる。

ヨーロッパの首都の中央駅ってだいたいどこも歴史的な建物で風情があるけど、ヘルシンキは違った。

外見もごつい感じの男性の彫刻が、ソ連っぽい印象。

フィンランド人のお父さんを持つ知り合いの女の子が、

「コペンハーゲンやストックホルムは美しい街だけど、ヘルシンキってそれほど・・・」と言っていたのだが、その理由がわかった。


ヘルシンキの宿は、夏季だけ旅行客に開放している大学のスチューデントアコモデーション。

一般市民の部屋に泊まれるAirbnbもその地の生活が垣間見られていいけれど、シャワーもトイレも気兼ねなく使えるシングルでこんなに安い部屋はなかなかないので、今回はここ。

小さいキチネットがあり、ちゃんとした大きさの冷蔵庫もあるので、長期で泊まる場合は自炊したら安上がりかも。

この日は遅かったので、すぐそばにあるスーパーでサラダをテイクアウェイして部屋で食べた。


コペンハーゲンでもそうだったけど、ヘルシンキでもほとんどのミュージアムは月曜定休。

なので、翌日の月曜にはヘルシンキから船で日帰りできるエストニアのタリンに行こうと思っていた。

だけど、フェリーのチケットを取っていなかったのと、疲れていたので朝早く出るのが辛そうだと思い、予定変更。

とりあえず午前中にスオメンリンナ島で海を満喫し、その後は市内でデザインディストリクトのショップ巡りに決定。

後になって思うと、このプランは正解だった。

翌日はお天気が最高で、スオメンリンナ島で美しい海の絶景を思う存分楽しめたからだ。

短期の旅行の場合は、旅行前に日程を決めて必要なチケットなどを予約しておいたほうが時間の無駄なく行動できるけど、今回は1週間以上の旅行だったので、自分の体力やお天気によって予定を変更できたのがよかった。

それこそが自由気ままな一人旅の醍醐味だしね。


そんなことを考えていたら、24歳のときに3ヶ月ヨーロッパを放浪した時のことが思い出された。

当時はインターネットも携帯電話もなく、分厚いトーマスクックの時刻表を片手に行き先と乗り継ぎを調べて電車に乗り、まずはその町のツーリストインフォメーションに行ってその日の宿を探し、各国からのバックパッカーと情報を交換してその後の行き先を決めていた。

もうあんな旅行は体力的にも時代的にも無理だから、あのとき実行して本当によかったと思う。


まさにあの放浪旅行がその後の人生を変えた。

あの時、最後の地にロンドンを選び、数日滞在しただけで、

なぜか「あ、ここには今度は住みに来よう。だから今はお金をセーブするためにもう帰ろう」と思い、予定を2週間早めて帰国したのだった。

そのときにはロンドンで何かやりたいという願望も目的もなく、ロンドンに住みたいと思うほど気に入ったわけでもなかったので、なんでそんなふうに思ったのか本当に不思議。

その後はそんなことはすっかり忘れて日本でそれなりに仕事や日常生活を楽しんでいたが、あることがきっかけでイギリスに留学することを決めた。

そのときも、都会には興味がなかったのでロンドンではなくわざわざ地方を選んだ。


その後ロンドンに住んだのも、積極的な意志からではない。

何となく仕事が決まり、その後仕事を変えながらも何となく住み続けて、あっという間に16年。

突然乳がんが発覚して、手術をし、ビッグベンを目の前に臨む病院に通いながら、

「私にはまだロンドンでやらなければいけないことがあるのかな」と感じた。

それは大それたことではないかもしれない。

何かを達成するというよりも、ちょっとしたことに気づくというだけのことかもしれない。

私自身の意志や好みや居心地良さとは関係なく、もっと別の大きなものの意思によってすでに決定されていたような。

それが何かはわからないし、壮大な勘違いかもしれないけど、まだロンドンでやり残していることがある、という思いがいつも頭から離れないのだ。


コペンハーゲン以上に日没の遅いヘルシンキで、夜10時になっても11時になっても沈まない太陽に眠りを妨げられながら、ぼんやりとそんな記憶をたどっていた。



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