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旅の終わりに出会ったフィンランドの兄妹

最終更新: 2018年11月18日

ヘルシンキからガトウィックに向かう飛行機はほぼ満席だった。

だが、私の隣だけ2席まるまる空いている。

これはラッキー! と喜んでいたら、離陸直前に、キャビンアテンダントさんが二人の幼い子どもたちを連れてきた。

7〜8歳くらいの男の子と4〜5歳くらいの女の子。

プラスチックのケースに入ったチケットを首から下げている。

キャビンアテンダントさんがやさしく説明するのを、二人ともおとなしく聞いている。

どうやら兄妹だけの二人旅らしい。

しかも、なんだか慣れている様子。

保護者なしで子どもだけで飛行機に乗っているのを見たことなかったので、すごいなあ、とちょっとびっくり。


さらさらの金髪に青い目の、天使のような兄妹は、二人でなかよくしゃべったり遊んだりしていた。

お兄ちゃんは感心するほど甲斐甲斐しく、おやつを出してあげたりゲームを出してあげたりと妹の面倒をみている。

妹はモニカという名前らしい。

「モニカ!これ見てごらん!」「モニカ!お行儀よくしなきゃだめ!」(予想)と、はしゃぐ妹に優しく辛抱強く言い聞かせている。

話しかけてみようかとも思ったけど、二人でフィンランド語で楽しそうだし、問題もなさそうなので、邪魔せずになんとなく見守ることにした。


3時間の旅も終わりに近づき、もうすぐガトウィックに到着するというアナウンスが流れると、今までフィンランド語で話していた二人は、驚いたことに急に英語で話し始めた!「We are going to see our Dad! Our Dad is waiting for us at the airport! (ぼくたちはお父さんに会いに行く〜♪ お父さんはぼくたちを空港で待ってる〜♪)」

お兄ちゃんは、うれしそうに節をつけて繰り返し、妹のモニカも大喜びで真似して歌う。

そうか、この子たちのお父さんは今はイギリスに住んでいて、二人は夏休みをお父さんと一緒に過ごすのか。

久しぶりにお父さんと会えるのが、楽しみで楽しみで仕方なかったんだね。

すごいなあ。えらいなあ。

こんな幼い子どもたちに、なんだか尊敬の念が湧いてきた。


ガトウィックは暖かく晴れていた。

私は飛行機を先に降りた。

兄妹は最後にキャビンアテンダントさんに連れられて、空港で待つお父さんに無事送り届けられるだろう。

空港の出口で、お父さんとしっかり手を繋いで歩く二人の姿がちらりと見えた。

お兄ちゃんは大きな声で一生懸命お父さんに話しかけている。

きっと話したいこといっぱいあったんだね。

こんなふうにたくさんいろんな経験をして、大人になっていくんだね。

誰一人として同じ道のりを歩むことなく、みんな違ってみんな素敵な人生を創造していくんだね。

旅の最後に、いいものを見せてもらったなあ、と思った。




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